この雪が少し解けたころに源氏が来た。 平生は待たれる人であったが、 今度は姫君をつれて行かれるかと思うことで、 源氏の訪れに胸騒ぎのする明石であった。 自分の意志で決まることである、 謝絶すればしいてとはお言いにならないはずである、 自分がしっかりとしていればよいのであると、 こんな気も明石はしたが、 約束を変更することなどは軽率に思われることであると反省した。 美しい顔をして前にすわっている子を見て源氏は、 この子が間に生まれた明石と自分の因縁は 並み並みのものではないと思った。 今年から伸ばした髪がもう肩先にかかるほどになっていて、 ゆらゆらとみごとであった。 顔つき、目つきのはなやかな美…