すばらしき星新一の作品に、「マイ国家」というものがある。その男は、自宅と自身を以て国家の三要素とし、マイ国家の存在を声高らかに叫んだ。そして私も、人は心に国家を、いや、「王国」を持つべきだと思っている。誰にも邪魔されない、神聖不可侵の領域を。それの発展に命をかけられるような、そんな現実を。生きるということは、社会に適合するということのみを必ずしも意味しない。かの偉大なるアール・ブリュットが指し示してきたように、我々は自身の中に王国を持つべきなのだ。そうしてこそ、我々は我々として生きられるのではないか。そんなことをふと思ったのである。それではまた。マイ国家 (新潮文庫)作者:新一, 星発売日: …