ジョン・レノンのインタビューを思い出した。自分の人生を振り返って、「漁師だったらよかったのに」と語っていた。本当はそんなこと思っていないだろう。だって、みんなジョンみたいになりたいと思っているのに。スーパースター、有名人、天才音楽家、みんながあこがれる存在。でも、そうかもしれない、と思うようになってきた。 映画「国宝」を見て、ジョンのことを思い出した。どこまでも自分の表現を追求し続ける芸術家の厳しさ。歌舞伎役者の喜久雄は悪魔に魂を売り渡して唯一無二の技を手に入れる。伝説のブルースギタリスト、ロバート・ジョンソンのように。才能と努力だけでは何かが足りない。そこに少しの狂気が加えられたとき、人々を…