5月21日の民族文化研究会関西地区第45回定例研究会で使用するレジュメ「里見岸雄の憲法思想――戦前期の国体論と憲法学」を以下に掲載します。研究会に参加した際にご利用下さい。 はじめに (一)本稿の視座 ①近代日本の憲法学における「国体」問題 近代日本における憲法学は、天皇は如何なる権能をもち、どういった役割を国家機構において営むのか、という問題関心が中心になってきた。いわゆる「国体」[1]をめぐる議論が、近代日本の憲法学を進展させる原動力となってきたわけである。こうした「国体」に対する問題関心によって、近代日本の憲法学では、重要な論争が提起され、数々の理論的営為が蓄積されてきた。 帝国憲法にお…