2015年12月号掲載 毎日新聞夕刊編集部編集委員(当時)/藤原章生 先日、作家の加賀乙彦さんにインタビューした。事前に長編作品「宣告」やエッセイ集、自伝を読み、感銘を受けたが、昭和4年(1929年)4月生まれという経歴に興味を抱いた。私の父と同じだからだ。これまで、昭和4年生まれの人たちに何人か会ってきた。その都度、幼少期から戦後にかけての社会の風景や当時の気持ちをたずねてきたのは、仕事もあるが、やはり2004年11月に死んだ父のことを理解したいという思いもあった。ご同輩として、どう思われますかと。 3時間のインタビューの最後の最後に昭和4年生まれについて加賀さんに「非常に複雑な世代ですよね…