夜になると、玄関を開けた瞬間に、「今日はもう、頭が回らないな」と分かる日があります。 手を洗って、上着をかけて、台所の灯りをつけたところで、献立の候補が何も浮かばない。 そんな夜に、わたしは小さく、こう言いました。 「今日は簡単でいい」 今日は、その一言が出た夜の話です。 「簡単でいい」の前に、少しだけ止まる 簡単でいい、と思うまでに、ほんの数分、迷う時間があります。 冷蔵庫を開けて、卵と、野菜の切れ端と、昨日の残りの小鉢を眺める。 作ろうと思えば、作れる。何品か並べようと思えば、並べられる。 でも、今日はその「思えば」の段階で、気力が止まっていました。 できる・できないの話ではなく、今夜の自…