岩波文庫160ページ「信法頓漸の論にもおよばざる畜類といひぬべし。ゆゑいかんとなれば、たとひ無生ときくといふとも、この道得の意旨作麼生なるべし。さらに無仏無道無心無滅なるべしや、無々生なるべしや、無法界、無法性なるべしや、無死なるべしやと功夫せず、いたづらに水草但念なるがゆゑなり。」 (身心の功夫をさしおくようなものは)信じればすぐに真理を得られるとか、この世界の森羅万象に従っていけば少しずつ真理を得ていくというような理屈にもおよばない浅ましいものと言わざるを得ない。どうしてかと言うならば、無生と聞いても、この無生という言葉の意味するところはどういうことであるか、さらに、無仏(仏など存在しない…