小澤征爾氏が逝去されてから、2週間くらいが経過した。名指揮者の訃報に、世界中からお悔やみのコメントが今も後を絶たない。そうしたコメントの中には、世界のマエストロらしく、彼と共演した一流の演奏家たちから寄せられた物も少なくなく、いかに偉大な音楽家であったかについて一様に賛辞しながら、故人を惜しんでいる。 そんな故人を偲ぶエピソードとして頻繁に目に止まるのが、概ね次の3つ。 「人柄が大変素晴らしかった」というもの、「情熱的でエレガントで、分かりやすいタクト」というもの、そして加えてもう一つ、「信じられないことに、あの時あの作品を彼は暗譜で振り、完璧に手中に収めていて・・・」という驚嘆である。 ここ…