ニコラス・ケイジの代表作、あるいは好きな映画としてこの2本を挙げる人は少ないかもしれない。だが、私にとっては『月の輝く夜に』と『スネーク・アイズ』の彼こそが、最も心を惹きつけるニコラス・ケイジなのだ。 『月の輝く夜に』(Moonstruck, 1987年、ノーマン・ジュイソン監督)と『スネーク・アイズ』(Snake Eyes, 1998年、ブライアン・デ・パルマ監督)は、ジャンルも作風もまったく異なる。ひとつはニューヨークのイタリア系家族を描いたロマンティック・コメディ、もうひとつはアトランティック・シティを舞台にしたサスペンスだ。 それでもこの二作ほど、ニコラス・ケイジという俳優の特異性を、…