------講義録始め----- 実際、炭素のネットワークは生命分子の多様性の源です。 まず、紹介した三つの分子を例に取ると、2つの炭素に結びついた水素原子の空間配置が異なります。この配置は、エチレンでは平面的な二次元構造を、エタンではより複雑な三次元構造を示します。 このような多重結合の種類が、局所的な空間配置に多様性をもたらします。 さらに、炭素の原子価が4であることは、直鎖状の炭素原子のネットワークだけでなく、途中で分岐したり環を形成したりする構造も可能にします。もし炭素の原子価が2だった場合、直線か単一のループしか作れず、2重結合を形成するとそれ以上の結合ができなくなります。 分子式C…
-----講義録始め------ 炭素のネットワークが生命分子の多様性の根源であることを見てきました。炭素原子のユニークな空間配置は、一次元から三次元に及ぶ多様な構造を生み出します。例えば、エチレンは平面的な二次元構造を持ち、エタンはより複雑な三次元構造を示します。 炭素の原子価が4であることは、炭素原子が直鎖状のネットワークを形成し、分岐や環状構造を取り得る理由です。これにより、炭化水素の分子は多様な形状を取ることができます。炭素数が増えるにつれて、異なる構造の可能性も増大します。特に、炭素数が5の場合、異なる分岐のパターンを持つ3種類のペンタンが存在します。 このような分子の多様性は、生命…
-----講義録始め------ これまで無機化合物について見てきましたが、次には有機化合物について考えてみましょう。有機化合物は元来、生物由来の物質を指し、主に炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)、リン(P)、硫黄(S)から成り立っています。 例えば、生命活動に必須のタンパク質、糖質、脂質は全て有機化合物です。これらは食べ物として摂取されるだけでなく、私たちの体そのものも有機化合物の集合体と言えます。 有機化合物では、元素同士が共有結合を形成して安定化します。これは、元素間で電子を平等に共有することで達成されます。原子価(原子化)の概念は、この共有結合を形成する際の元素ごとの結合可…
12月に「大体の数」なんかについて書いていたせいか、いらないことを思い出しました。そもそも自然数って何だっけ・・・ここはベッドの中で朦朧とした意識のまま読書することにして、このブログで突き詰めて袋小路に入り込むのはやめときます。でも、化学の世界でも何かを数えることはとても大切。2024年は「数え方」の話から始めようと思います。 炭素がたくさん、有機化合物 地球上の生物は炭素化合物で形成されています(生物の定義を深掘りする気はないので、そこんとこヨロシコ)。実際、私たちは炭素化合物を含まない生命体をみたことがないはずです。初期の化学者たちは、生物(動植物)から単離された物質は、人工的に合成するこ…
Menthol. メントール
Amino acid. アミノアシッド
Vitamin. ビタミン
第36回美容師国家試験より引用。 香粧品に含まれる有機化合物とその分離に関する次の組合せのうち、正しいものはどれか。 ① パラフィン ー タンパク質 →× パラフィンは炭化水素に分類され、石油中から採取されることから鉱物油に分類されます。他にも鉱物油にはセレシン、ワセリンが該当します。 ② セタノール - 炭化水素 →× 語尾の発音が「オール」になっているもの(他にもメタノールやエタノール、プロピレングリコールなど)はアルコールに分類されます。炭化水素はC(炭素原子)とH(水素原子)のみからなるのに対し、アルコールはC,Hに加えてO(酸素原子)を含みます。 ③ コラーゲン - 多糖類 →× 多…
第35回美容師国家試験より引用 有機化合物に関するつぎの記述のうち、正しいものはどれか。 ① エタノールは、化粧品への配合が禁止されている。 →× エタノールは多くの化粧水の溶剤として幅広く使用されております。配合が禁止されているアルコールといえば、毒性の強いメタノールです。 ② 油脂は、アルコールの一種である。 →× 油脂は、アルコールの一種であるグリセリンと高級脂肪酸を原料としている物質であり、アルコールとは別の分類群になります。 ③ 高分子化合物のポリビニルピロリドンは、アミノ酸からできている。 →× アミノ酸からできている高分子化合物は天然高分子化合物に分類されるタンパク質であり、ポリ…
※怒られるといけないので問題文は載せません。令和元年12月実施(第70回)環化 問13 有機化合物の用途を問う問題。正解) 1,3-ブタジエン 合成ゴムの原料 乳酸 生分解性高分子の原料 アセチルサリチル酸 解熱鎮痛剤 ジエチルエーテル 有機溶剤 解説) 組み合わせは24通り考えられるが、試験の解答は5択なので、4つとも分からなくても正解を選べる。今回の問題の選択肢なら、1個か2個分かれば正解できる。 アセチルサリチル酸が解熱鎮痛剤の選択肢は一つしかないので、これを知っていれば正解できる。