ここでヨーチンと赤チンの歴史を簡単に振り返ってみたい。ヨーチンの主成分であるヨウ素は1811年にヨーロッパで発見され,すぐに強い殺菌・消毒効果のあることが判明した。19世紀半ばにはすでにヨウ素を医療目的で使用していたらしく,ヨードチンキという液剤の形で長崎に輸入されたのは1842年とされる。明治に入るとヨーチンは国産化が進み,日露戦争や第一次世界大戦時の需要増もあり,家庭の常備薬としても使われることになった。 一方,赤チン(マーキュロクロム)は1919年にアメリカで開発された。日本への輸入は昭和初期だが,ヨーチンよりかなり後発であるにもかかわらず,「しみない消毒液」との評判から一気に普及した。…