北京の街を、日本人の二人組が過ぎてゆく。 西へ向かって。 うち一人の名は有賀長雄。 日清・日露の両戦役に法律顧問の立場で以って貢献した人物だ。ウィーン大学留学時、ローレンツ・フォン・シュタイン教授に師事し磨いた彼の智能は本物であり、旅順要塞陥落時には通訳として間に立つなど偉勲があった。 (Wikipediaより、有賀長雄) 明治四十二年にはノーベル平和賞の候補者として名が挙がったこともある。 その経歴と手腕を見込まれ、大正二年、大隈重信の仲介により、今度は袁世凱の法律顧問におさまった。 以来、中華民国を名実ともに第一流の国として世界に認めさせるため、骨を折り続ける毎日である。そんな有賀博士のも…