本書で扱われている88人の現代俳人というのは、いずれも現代を代表する俳人たちなのだろうが、僕にとっては未知の俳人も含まれる。海藤抱壺、岸風三樓、ジャック・スタム、これらの名前はこの本で初めてお目にかかったように思う。 引用されている1,800句の中にも、ここで初めて読んだという句が多い。いつもの通り、好きな句には印をつけながら読んだが、一番多く印が付いたのが、上野泰。 打ち水の流るる先の生きてをり 考へを針にひつかけ毛糸編む 春眠の身の閂を皆外し 椿落つかたづをのんで他の椿 天声の一語の如く返り花 比喩・擬人法の妙に強く感心させられる句が多い。この作者の句はもっと読んでみたい。 折笠美舟には次…