5年前、仕事を整理して名刺も廃棄したとき、自分のことを説明するのに困るので、肩書きを「文学修業中」とした。 文学修業は、読書、詩、エッセイ、短歌と手当たり次第にやっている。仕事と違ってお金にはならないがストレスがない。さらに一年前から俳句も始めた。 月に一回の句会に三句提出し、先生の批評を受ける。 はじめての句会に出した五七五。稚拙か。 「木枯らしを 迎えに行かむ 霊山へ」 「山椿 散らばる道を とぼとぼと」 「大根の 白きを前に 思案する」 俳句には季語があり、季節ごとに詠む対象が決まっているので作りやすい。 春になると、詠むものが増えてくる。これまで何気なく見ていた景色も句にする。 「啓蟄…