はじめに 〝未来予想〟は、私にとって学生時代からの最大の関心事であった。左翼学生だった私はマルクス主義の史的唯物論に心酔していたから、いつ・どんな仕方で社会変革が起きるのか、という問題は自分事の大問題だった。修士論文で労働力不足問題を扱ったのは、当時、いままでの社会体制の大変革期には労働力不足があったのではないか、という仮説を立てていたからである。ある先輩院生は、それで革命が起きるのか?と研究者らしい顔つきで質問したが、私の答えを聞いてもまともに扱おうという様子はなかった。その後の私は、別の分野の研究をいろいろしたが、そのすべては社会変革の決定的な時期に適切な方向性を適切な仕方で提示するためで…