『源氏物語』に感情移入するあまり、光源氏の死を暗示した、本文のない「雲隠」の巻を自分で書いてしまったフランス人作家がいるという話を、Yahooニュースで読みました。 ※ 『源氏物語』全巻のなかの謎めいた欠落。紫式部を敬愛してやまないフランスの女流作家マルグリット・ユルスナールは、失われた「雲隠」の巻を「再現」した。それが、『源氏の君の最後の恋』(Le Dernier Amour du Prince Genghi, 1937)である。 晩年、光源氏は、死期の遠くないことを悟り、都を離れ、山里に隠遁する。源氏の何人かの妻のうちのひとりで、いまだに源氏への思慕を忘れ去ることができない花散里は、源氏の…