杉ノ町

宝永８年１月１２日。朝飯後、文左衛門は杉ノ町へ出かけ、馬乗初を見物する。夜、若子様誕生の廻文がある。この日の明け方、元介が伊勢へ抜け参りに出かける。

宝永７年１月２３日。巳（午前９時）前、杉の丁石井戸のあたりの裏屋でうちき（ママ）はた（？）に火が付いたのを消す。

宝永６年４月２９日。久屋杉ノ町の角、平吉という米屋が自殺する。貧しさのため。亀尾天神の町の隼人正家来服部求馬中間と槍持ちが悉皆人を未刻（午後１時）過ぎに求馬宅で切り殺し、立ち退く。

文政６年１２月。名古屋の町中を木刀で叩き歩く侍がある。この人相がわかり、２人とも差控（閉門）を仰せ付けられる。１人は書院番、１人は大筒役の次男。今年の出来事を詠んだ歌を得る。老婆婚姻近年寄 世上一統評判頬。掛所再建勢就日 本山焼失告来時。経修騒動稍相休 弘法繁盛猶維未衰。聞説木刀頻打斃 夜分謾莫出童児。一 老婆の婚姻は文慶堂という者の妻で５４になるが３０ばかりに見える芸妓であった。杉の町みの勘隠居がこの文慶堂へ金子３０両を遣わし、離別させて自分のところへ迎える。一 経宗騒動は日比津定徳寺隠居大徳と本用院目就との問答はとても甲乙つけがたく、宗門の俗人は２つに分かれ、大いに騒動になると。このことで…

元禄１７年２月２２日。近頃、杉之町の者が時疫（はやりやまい）で死ぬが、入棺の後で甦る。

（朱書）文政３年７月１８日。夜、五条町八百屋彦助、杉の町（杉ノ町）松月堂、呉服町井桁屋、よし（葭）町茶碗屋、同町小塩六兵衛、大津町高木屋などへ盗人が入り、高木屋のおやじが切られたと。