漫画家。江戸風俗研究家、著述業。 1958年11月30日、東京都港区生まれ。A型。江戸時代に生きていた。 血液の免疫系の難病のため、漫画家を引退し「隠居」と称していた。 (松田哲夫による追悼文に記載あり)http://www.chikumashobo.co.jp/top/050803/index.html) 2005年7月22日、下咽頭がんのため死去。
ネタバレします。 (了) 「維新は実質上維新(これあらた)なる事はなく末期幕府が総力を挙げて改革した近代軍備と内閣的政務機関を明治新政府がそのまま引き継いだにすぎない。 革命(revolution)ではなく復位(restoration)である」 雨降る夜分、腕に傷を負った極は柾之助に支えられながら秋津家の分家を訪ねる。 が、奥から「ならぬ、匿えば家が絶える。奥州へでも逃げよと云え」という主人の声が聞こえ極は柾之助に「出よう」と告げた。 追ってきた爺がとある店屋に小判と米を渡して「この雨の中。せめて一晩匿ってほしい」と土下座して頼み込んだ。 いったんふたりは納屋にかくまわれたが「ひとり一両」とい…
続きます。 ネタバレします。 (五) 悌二郎の妹砂世は別の人に嫁ぐこととなった。 その前に一目、極に会いたいという。妹の頼みを悌二郎は極に伝えに行く。 極はその頼みを断る。その時に「山は官軍に取り囲まれている」と報がはいった。 即刻戦闘準備がなされたが具体的な作戦指令はない。 春日左衛門が檄を飛ばす。 弾避けは畳だった。 悌二郎は逃げ遅れしまう。 丸毛靱負は「一人一殺だ。死ぬ前に必ず敵を一人以上殺せ。銃声がしたら木に隠れるか伏せろ。弾に当たって死ぬほど無駄なことはない」と言い渡す。 極は悌二郎に謝った。 悌二郎は昔兄と共に蝉が脱皮する瞬間を見たことを思い出し極に話す。 「いや、なんでもない」 …
さて続きです。 ネタバレします。 (参) 彰義隊はすでに三千名を越え存在そのものが巨大な反政府勢力とみなされていたが、彼らには新政府を倒し幕府の再建を謀るという所思はなくしいて言えば「義憤」が彼らの原動力にすぎなかった。 しかし数度の解放勧告を拒否するうち、初志とかけ離れた軍事的組織へと変貌していく。 福原悌二郎は上の寛永寺彰義隊屯所へと向かった。 ここで悌二郎は秋津極の除隊を頼むつもりだったが逆に入隊したまえと誘われてしまう。 そう言ったのは森篤之進、二十四歳。体内穏健派の川村敬三の懐刀である。 川村らは戦争回避のために派遣されていた。主戦論を持つ強硬派を危ぶんでいた。 福原悌二郎のような論…
初めての杉浦日向子作品読です。 今幕末から昭和初期までの歴史にはまっており本作に巡り合いました。 私はとりあえず生まれた場所的に官軍側の人間なのですが、だからといってこれまで大した幸運はなかったよなと思っていました。しかしよくよく考えれば歴史による何かしらはあるはずです。もし賊軍側の場所に生まれていれば何かと悔しい思いもしたのかもしれません。 本作はいわば賊軍となってしまう彰義隊の物語です。 本作を読んで何かを知りたいと思っています。 ネタバレします。 (壱) 旗本笠井家三百石小普請(非役)に養子としての恩義がある吉森柾之助が語る。 ある夜、養父が酒席で死んだ。 酔って抜刀したのを相席していた…
暇に任せて、久しぶりに杉浦日向子を読み返す。 この本は全国の銭湯を巡り、そこで出会った人(老若男女)、銭湯内(女湯)の様子、酒や美味いもの、などが面白可笑しく語られる。 銭湯や町の歴史のようなものも少し触れられる。 ちょっとふざけ過ぎている面もあるので、慣れていない人には読みづらいかもしれない。 改めて読み直してみると、2000年頃の雰囲気がどことなく漂っている。 この頃まだ残っていた銭湯のうち、いったい幾つが今もあるのだろうか。 この本を銭湯のガイドブックとして読むことは、いささか心許ないような気がするが、 追憶の旅のガイドブックになるのかもしれない。 新装版 入浴の女王 (講談社文庫) 作…
おにぎりは簡単に作れて、何処でも手軽に食べられて日本人で良かったと思える食べ物だなぁと思います。 今日ご紹介する杉浦日向子さんが書くエピソードはおにぎりに関するもの。 想像するとおにぎりが食べたくなります。 今日のおにぎり レシピの決まりごと 材料 今日のお弁当 おいしいアンソロジー 杉浦日向子(すぎうらひなこ) おにぎりころりん 今日の名言 何か一つ趣味を持たない限り、人間は真の幸福も安心も得られない。植物学、蜘蛛やカブトムシの採集、バラやチューリップ、スイセンの花づくり、釣り、登山、骨董、その他どんなものに興味を持とうと、その人の人生は素晴らしいものに変化する。趣味という馬を乗りこなせる限…
※当ブログではアフィリエイト広告を利用しています 多分中学生の頃だったかと記憶してますが、友人から、 杉浦日向子さんの漫画の本を借りました。 当時はハードカバーの大型本だったと記憶しています。 (本が重かったので、それで覚えているのです。) 今にして思うと、かなり「おませ」だったと思うのですが、 それでも中学生なりに大変魅力的な内容だと感じました。 借りたのは 「百日紅」(さるすべり)上下巻。 文化文政期の江戸。 葛飾北斎、娘のお栄さん、絵師の栄泉、国直らが登場し、 江戸の暮らし、風俗、浮世絵の世界を描いています。 吉原の花魁とかも登場します。 好きなエピソードはたくさんあるのですが、そのひと…
仙台に寄った際に、地元の老舗書店で購入したのがこの本。江戸の風俗や当時の流行を、杉浦日向子さんのイラストとともに紹介している。文庫本なのでイラストの部分の字が小さくて読むのに苦労したが、それはこちらの問題。単純に面白かった。落語を聞く際にも、イメージが膨らみそうである。 一日江戸人 (新潮文庫) 作者:日向子, 杉浦 新潮社 Amazon 江戸時代は、いわば体を使う仕事が多かったので、当時の男性は屈強な体つきをした人が多かったそうで、なので、か細い男性の方がもてたとのこと。女性の方はより細かく変遷が紹介されていて(資料が多いのだろうか)、明和二年(1765年)あたりには、7頭身のなで肩タイプ、…
お題「蕎麦が好き」 ランキング参加中ライフスタイル ランキング参加中【公式】2023年開設ブログ ランキング参加中アクセスの輪 ランキング参加中はてなブログはじめました!初心者歓迎の会 ランキング参加中読書 ランキング参加中喫茶店 ランキング参加中音楽、映画 大好き ランキング参加中将棋 ようこそ! お越しくださいました。 はてなスターを、みなさんからたくさん頂戴して感謝しています。 静岡市では知らないという方はいないというくらい有名な「戸隠そば本店」へ出かけ、天磯おろしをいただいてきました。 私はドライカレーも好きなんですが、ドライカレーが好きになったのは最近のことで、昔から『蕎麦』が好きな…
20230802(了) 杉浦日向子/『合葬』 ハ・ジ・マ・リ 一~七、了、長崎より あとがき 解説 小沢信男 1987年/漫画/ちくま文庫//1982-83「ガロ」掲載/1983青林堂(章追加)/ 中古 <★★★△> 江戸好きだった杉浦日向子さん(1958-2005)の初期の漫画で、「上野戦争」 (前後)の話。 彰義隊が中心にあって、その構成員になるかならないか、などがいたって身 近な市民生活のレベルの中で描かれる。 三人の10代の若者の考えかた、感じかたを集約すると、 バカげた戦だという大局観/主君に殉じる決意/所詮は時流の渦に 巻かれる境遇 こういったもの。 庶民生活の中では、 「……この…