李通は江夏郡平春県の人である。義俠の人として長江、汝水の間で名を知られ汝南の朗陵県で兵を挙げた。その後、周直なる者の二千餘家を併せたり、自勢力の内紛を収め、安定化させ、さらに(汝南)黄巾を破るなどした。建安初、許都に詣でて曹操に帰伏。張繡、劉表らとの戦闘で活躍すると、曹操は汝南二県を割き,李通をその長官の陽安都尉とした。 これが李通の前半生であるが、ここでの疑問は、出身県は江夏郡平春県であるのに、挙兵したのは汝南郡の朗陵県だということ。 地図を置いておく。 こうして地図を見てまず考えるべきは李通どうこうよりも、江夏郡の奇妙さである。 江夏郡の北境は淮水沿いとなっている。問題は、その南方に山地が…