慶安水滸伝(上巻):村上元三 1953年(昭28)1月~10月、時事新報、大阪新聞で連載。 1954年(昭29)大日本雄弁会講談社刊、上下2巻。 江戸初期の由井正雪の乱を記した史書「慶安太平記」は後世に講談や歌舞伎、絵草紙などに形を変えて取り上げられていたが、村上元三は「慶安水滸伝」とタイトルを変えて、史実の人物に交えて架空の人物を作り出し、多種多様な人間模様を描いた。特に主人公の元小倉藩士、櫟大介は人を殺めたために脱藩し、放浪の身となった二刀流の使い手であるが、取り立てて何をしたいかという目標も意欲もなく、周囲に流されて行動するのが気になった。由井正雪と丸橋忠弥その股肱の武士たち、幕府の大老…