物語には教訓があり、その教訓を生かせるかどうかは読者次第です。小林泰三先生の『杜子春の失敗~名作万華鏡 芥川龍之介篇~』は「物語の教訓」をテーマにしたような小説です。 本作は4編の短編で構成されており、それら4編は芥川龍之介が執筆した小説の世界と繋がった物語が展開します。「杜子春」「蜘蛛の糸」「河童」「白」に登場するキャラクターたちが、自身の境遇を語り、短編の主人公たちが抱える問題に干渉します。 物語の教訓を生かせるかどうか…そこに注目する小説でした。物語の教訓というのはバッドエンドを回避するためのノウハウのようなもので、教訓に従った人は救われて、従わなかった人は救われないという結果を辿る傾向…