暑い。 それでも、これまで1時間半かかっていた通勤時間が、 引っ越してからは、40分に短縮されたので助かる。 アパートのすぐ下のバス停から直通バスが出ており、 全く汗をかかずに会社までたどり着ける。 特に、香港の郊外を通るため、 ビル群が密集する香港島とはまた違った風情があり、 毎日小旅行をしているようで、楽しい。 そんなわけで、一見、精緻で壮大に見えるこの世界が、 実は、吉本新喜劇の舞台装置並みのショぼさだった、 という自我の小細工に、 完全に気づいてしまった僕である。 向こうから息を呑むような美人の女性が歩いてくるのも、 木々がざわめき、顔に心地よい風が吹きつけてくるのも、 寸でのところで…