平和な夜だった。
何事も起きていなかった。少なくとも人間にはそう見えていたのだ。そんな人間のもとに妖怪が訪れる。
いつもなら妖怪退治は人間の役目だ。だがこんな『異変』が起きている
と言うのに、人間は一向に動こうとしないので痺れを切らした、と言う。
だが人間は、そのとき初めて『異変』に気が付いたのだ。
妖怪退治が役目の人間は、
『この異変』を、夜が明ける前に解決出来るだろうか、と言った。だが妖怪は言う、
『こんな異変』は、夜を止めてでも今夜中に解決させる、と。
妖怪は、月の欠片を求めて夜の幻想郷を翔け出した。
後を追うように人間も飛び出す。
魔を感じ、幻を打ち破る人間。
魔を遣い、幻を無効化する妖怪。―― 二人は、夜を止める
正式名「東方永夜抄 〜 Imperishable Night.」
同人ゲームサークル・上海アリス幻樂団が製作した弾幕シューティングゲーム。
東方シリーズ第八弾。また、紅魔郷・妖々夢・永夜抄を合わせて「三部作」というユーザーも。
本作は、他の作品と比べ非常に複雑なシステムとなっている為、予備知識無しでは恐らく対応すら出来ないものと思われる。
本作では時間の概念が存在する。ゲーム開始時点で午後11時。後述の刻符ノルマによって一定数(30分単位)進み、午前5時までにStage6をクリア出来ないとゲームオーバーとなる。
本作では、人間と妖怪で1つの自機となっており、選択した際の武器選択も無くなっている。
高速移動で人間(以下、人間操術と表記)、低速移動で妖怪を操作する(以下、妖怪操術と表記)事が出来、人間と妖怪でショット性質も全く違う。
この、人間妖怪を使い分けて進む。*1
また、4つの機体でFinalBをクリアすると、単独使用も可能になり、選択機体は12にまで増える。
通常のSTGとは別に、本作ではこの「刻符」を集めていく必要がある。普通にプレイしていれば出て来る、「永」と書かれたものがそれである。
ステージには刻符ノルマが存在し、一定以上集めるとノルマクリアとなり、通常ステージクリア時に60分進む時間が、30分に短縮される。また、敵のラストスペル発動にも関わっており、非常に大事な役割を持つ。
因みに時間の進み方は以下の通り。
画面左下の、常に変動し続けるゲージが「妖率」と呼ばれるものである。人間操術の時には−側に、妖怪操術の時には+側に傾き続ける*2。敵を撃破、刻符を獲得した時にも、操っている側の方向に大きく傾く。逆に、相手の使い魔を破壊した時には中央に少しだけ戻る。また、ボムを発動した時には、強制的に発動した側の100%になる。
±100%まで存在し、±80%以上で「逢魔が時」という特殊な状態になる。この状態の時、人間操術の時は、ショットがヒットしている時に刻符が排出され、妖怪操術の時は、グレイズ時に数個の刻符が獲得出来*3、ショットの威力が上昇する。ボーナスとして、逢魔が時の状態では、常に得点が加算されていく。
以下補足
冥界組のみ人間側のゲージが50%までしかない*4。人間逢魔が時には−30%からなれる。
単独使用の際、人間キャラは−100%〜20%、妖怪キャラはその反対になっており、もう片方の逢魔が時にはなれなくなる。
妖夢の単独使用のみ、−50%〜50%*5に設定されており、両方の逢魔が時になる事が出来る。
本作では、敵・自機両方に「ラストスペル」というものが実装されている。以下に2段リストで解説。*6
「Normal以上の難易度である」「ボス撃破時点で刻符ノルマを達成している」の2つを満たすと、敵を撃破した時に復活し、最後のスペルカード「ラストスペル」を繰り出してくる。ラストスペル中はボムが発動出来なくなるため、弾除けに専念する必要がある。
・・・と言っても、ラスペで被弾してもミスにはならず、「ディゾルブスペル」というものが自動で発動し、引き分けとなって終わる。また、撃破してもアイテムは放出しない。*7
つまり、ようはただのやり込み要素である。取りあえずデメリットは無いので、挑戦するだけしてみよう。他のスペカと同じく、遭遇すればその時点で「スペルプラクティス(後述)」に登録される。
6面Aボス八意永琳は、撃破すれば無条件で、6面Bボス蓬莱山輝夜は1〜5面でクリアした刻符ノルマに応じたラスペを繰り出してくる。*8
「喰らいボム」システムを強化した物。被弾した際に「決死結界*9」が瞬時に張られ、展開中にボムを繰り出すと、ボムを2個消費して「ラストスペル*10」を発動する。
決死結界を発動した時は、画面のあらゆる物が赤くなり、時間が少しだけ停止する。これは、刻符の「時間を止める」という特性を利用しているもの。つまり、決死結界が発動すると刻符を消費するので注意。決死結界の展開時間はボム数・刻符に比例し、状況によっては1秒以上展開したりなど結構なチート喰らいボムとしては異常な猶予時間を誇る。
因みに、「被弾した時に相方が助けに来る」という設定の為、操作していない側のラスペが発動する。また、残ボムが1個の場合は、消費1個で発動出来る。
余談だが、通常の喰らいボムも発動出来る。・・・が、決死結界が張られる前の数フレームと壮絶にシビアな為、狙って出す様なものでは無い。
本作と「神霊廟」にのみ実装されている、「敵のスペルカードだけを」練習出来るモード。因みに、遭遇したスペカしか挑戦出来ない。
また、スペルプラクティス内で条件を満たしていくと、桁違いの難易度を誇る「Last Word」に挑戦出来る。つまりやり込みモード
本作から、アイテムの蒐集が何時でも行える様になった*11。
その他、使い魔とか何とか挙げてくとキリが無いので、公式サイトも参照して下さい。(待て
東方求聞史紀や東方文花帖の記述を見ると、今回の異変は「永夜異変」となっている。つまり部外者は、本物の満月が無くなった異変ではなく「夜が明けなくなった異変」として捉えられている。
そもそも事の発端は、鈴仙と輝夜を月から隠す為に永琳が満月を隠した事が原因であるが、その異変を解決する為に夜を止めていたのは主人公達なのだ。これにより、幻想郷の妖怪達は月の魔力を長時間浴び続けてしまう事になる。つまり、異変自体を起こしたのは永琳であるが、それを大事にしてしまったのは霊夢達主人公。輝夜の永夜返しで事無きを得たが、もう少しで幻想郷が狂ってしまうところだった。
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*1:因みに切り替えのタイムラグは全く無し
*2:ショットを撃っていないと0%になっていくので注意
*3:ボス戦のみ
*4:これは、妖夢が「半人間」という設定からである
*5:妖夢の設定が「半人間」と同時に「半妖怪」でもあるため
*6:因みに、ユーザー間では専ら「ラスペ」と呼ばれている
*7:スペカボーナスは貰えるけど
*8:つまり、最大で5回。連戦の為、1つ1つの耐久時間はやや短め
*9:設定では、厳密には結界では無く、被弾した瞬間の生と死の境界。その為、「Border of LIfe」なんていう何処かで見たような英題が付けられてたり
*10:前述の決死結界をこじ破る為に、強力なスペルカードで境界に干渉するという裏設定が存在する
*11:ただし、フルパワー状態でなければ妖怪操術の時のみ
*12:「しゅんしゅんしゅうげつ」と読む。蠢々とは、蟲が蠢く様を表す語
*13:ヴォヤージュ1969と同時再生して1つの壮大な曲になったりする。1969の伴奏は1970である
*14:「ゆうげんのかえで」と読む