日本列島クロニクル ― 東松照明の50年。1999.2.6~4.4。東京都写真美術館。 1999年2月23日。 大物らしいが、失礼ながら、まったく知らない人だった。それに活動期間から考えても、過去の自分の遺産でやっている人だと思っていた。 でも、軽みがあった。椹木野衣が後に評価しているのを知るが、確かにコンピュータの部品を置いた風景写真はよかった。これからの人のように見えた。とても今のものだった。 「どんなことでも、私に引き寄せないと、写真は撮れない」。 そんな言葉に実感がある。 写真館を出てから、恵比須の駅で実家に電話をする。寒い日だった。母は話の途中で急に泣き出し、その後すぐに何ごともない…