15km/hの時速制限がかかる半径100mの急カーブを抜けて、区間準急が隅田川橋梁を渡る。十分な加速を得る間もなく、最初の停車駅とうきょうスカイツリー(旧業平橋)駅は目の前だ。アサヒビールタワーの琥珀色したビールジョッキが、初夏の陽に煌めいている。 昭和初期を代表するアール・デコ様式の浅草駅は、屋上に時計台を載せて威容を誇る。日光や鬼怒川温泉に向かう特急が始発するこの駅は、朝から観光客や訪日外国人で溢れている。その賑わいを横目に、呑み人は1番線からの各駅停車に乗り込んで、きょうは伊勢崎線で呑む。 最初の停車駅で東京スカイツリーを見上げる。朝の太陽と重なって、634mの電波塔は青いシルエットにな…