2 正体・正心(正気)による知覚・認識― 近代科学と東洋宗教を相対的に理解する 儒教の教典である四書五経の一つ『大学』には、 「心焉(ここ)に在らざれば、視(み)れども見えず、聴けども聞こえず、食らえども其の味を知らず。」 (心がここにない上の空の状態では、見ても正しく物を見ることはできない、聞いても正しく音を聞くことはできず、食べても本当の味を知ることはできない) という言葉があります。 儒教では、人間の知覚・認識を「機械的な仕組み」とは考えず、「『正心・正体(正気)』によってこそ、初めて物事を正確に知覚し、正しく理解することができる」と教えていたのです。 ここには「身体性」を重視した、ただ…