「潤(ルン)」という言葉が、単なる資金逃避や不動産投資の隠語ではないことを、本書は静かに、しかし力強く突きつけてくる。舛友雄大の『潤日』は、日本という土地が、中国人富裕層にとっての「安全資産」であると同時に、窒息しそうな社会からの「非常口」として機能している現実を鮮烈に描き出した一級のルポルタージュである。 特筆すべきは、日本へ渡る人々の動機が、単なる経済的合理性だけでは説明しきれない点にある。 もちろん、二十三日で発給される高度人材ビザを武器に、湾岸のタワーマンションを買い叩く富裕層の姿は象徴的だ。しかし、彼らの会話の端々から漏れ出るのは、言論や活動が制限され、明日の予測すら立たない母国の「…