その夏、僕は彼女に出会い、恋に落ちた―― 若い男女の青春、恋愛物語と思いきや、最後から2行目で驚愕の真実が発覚する。 「東西ミステリーベスト100」(文藝春秋、2012年)の「東=国内」編第74位。 以下、ネタばれ注意。 イニシエーション・ラブ (文春文庫) 作者:乾 くるみ 文藝春秋 Amazon ミステリー作品とうたってあったので、冒頭部分の男女恋愛物語もそのうち謎めいてくるのだろうと耐えて読み進めていった。結論からいうと、最後まで恋愛物語だったが、最後から2行目でガツンと頭を殴られた。 一人称視点「僕」で語られる、サイドAとサイドBとの二部構成。 「僕」の名前は「鈴木夕樹」、「ゆうき」と…