作家、小説家、(1909-1992) 「探偵小説」を「推理小説」に変換させた原動力となった作家であり、いわゆる「社会派推理小説」の鼻祖である。ただし、作品は、推理小説の枠を越え、さらに歴史研究・昭和史検証にまで及び、非常に多岐に渡る。 デビューが遅く、それまでは長く「下積み人生」をおくってきたため、社会の下層にいる人々に共感した作品が多く、「司馬史観」と対象させて「清張史観」と呼ばれる場合もある。
日本橋三越、いきました。 三越本店といえば、 先日、放送された下山事件、 松本清張で繰り返し放送されていましたが、 今回のは、画期的なものでした。 ◯「未解決事件 File.10下山事件」3/30NHKスペシャル この成果は、ほぼ「他殺説」が正しいことと、作家やジャーナリストが積み重ねてきたGHQによる謀略説を明らかにしたといえます。 下山総裁を三越本店から連れ去ったのは、東京神奈川CICのアーサー・フジナミ将校、 誘い出したのは、下山総裁の情報屋の元関東軍情報参謀の塩谷好太郎と推測。 通称・キャノン機関(Z機関)が裏で動いていたということです。 <「朝鮮戦争が起きるというか、起こすのが前提で…
待望の<鬼畜>を鑑賞した。 taipuri.hatenablog.com いやー面白かった。 映画の前半部分は、妾が産んだ子供(3人)を置き去りにされて、あたふたする男の姿が描かれており、ともすれば、喜劇のような雰囲気なんだけれど、だんだんと話が進んでいくにつれて、悲劇に向っていく様は、何とも言えない切なさを感じさせる。 ラストに子供が発する「父ちゃんなんかじゃないやい」が胸を打つ。 それにしても、岩下志麻の<鬼嫁>ぶりは凄まじかった。 話では、監督の厳命で撮影以外でも子供たちに対しては強く当たっていたらしくて、子供たちは本当に岩下志麻を怖がっていたと言う。 それが、映画の中で見事に反映してい…
実際にあった事件をヒントにした松本清張原作のサスペンス映画。 夫婦が乗っていた自動車が海に転落し、夫は死亡、妻だけが助かる。 夫には3億円の保険金がかけられており、自動車事故と見せかけた殺人容疑で妻が逮捕される。 そして、その妻役を演じるのが、桃井かおりなんだけれど、その悪態ぶりはお見事の一言に尽きる。 この映画の5年前に公開された「幸福の黄色いハンカチ」において、武田鉄矢の恋人役で見せたどこか優柔不断で気弱な女性とは真逆のキャラクターである。 そのキャラクターの変貌に、まさに<女優魂>を見せつけられたようである。 そして、その妻の弁護人を演じるのが岩下志麻。 鉄仮面のごとく、冷静かつ淡々と検…
夜、松本清張「影の車」を観終わってから風呂に入った。 今回は2001年のテレビ版だが、昔同じ原作の1970年映画版を観た。観るたびにいろいろ考えさせられる作品だ。 「影の車」の主人公は、子供時代に、母親の浮気相手を殺してる。大人になって、今度は自分の浮気相手の6歳の息子に「毒薬」を飲まされ驚愕することになる。おれの結論は、大人の苦しみを知ろうとしない子供が一番アホってことだ。昔、おれの近所に不倫してると周りから暗に非難されてる奥さんがいた。不倫が褒められたことでないのはわかりきってるが、他人の不倫にタガが外れた攻撃をする世間というものは、「影の車」の子供のようだ。子供ならまだしも……[松本清張…
『張込み』野村芳太郎監督,松竹,1958.松本清張の小説を読んだことはないのだが,映画やテレビで気が付けば,たいがい見ている.といっても,たいがいの筋は憶えていない. wikipediaでみると『張込み』はこの映画以降,テレビで繰り返しドラマ化されているようで,私はたぶん見ているはずだがこの映画をみても何も思い出さなかった.***若い柚木(大木実)とベテランの下岡(宮口精二)の2人の刑事が強盗殺人の共犯者の男が別れた女のもとに連絡してくるだろうというあたりをつけて,女の家の前にある宿で張込みを続ける,というプロット.その女,さだ子(高峰秀子)は50代くらいの銀行員の後妻として3人の継子育ててい…
2019年8月号掲載 毎日新聞夕刊報道グループ記者(当時)/藤原章生 ハンセン病の元患者や家族への差別に対する国の責任を認めた今年6月の熊本地裁判決を、国側が控訴しない方針を7月9日に発表した。患者を隔離し、偏見をなくすための教育を怠った国が責められるのは当然だが、「住民にも責任」という毎日新聞の見出しが目を引いた。 「差別を除去する責任は国だけではなく、『無らい県運動』の実動部隊となった都道府県や住民にもある」という内田博文・九州大学名誉教授のコメントに添えられたタイトルだった。 世界中にはあらゆる差別がある。状況は年々改善されているかに見えるが、トランプ米大統領誕生に象徴されるように、いま…
松本清張氏の『砂の器』(新潮文庫・上下巻)を読みました。この作品は映画やTVドラマで、何度も映像化されているので、ある程度知っていたつもりでしたが、原作はTVドラマと全然違う!というのに驚きました。そして原作本と映像化作品との関係について、考えてしまいました。<目次> 1、ドラマ化をきっかけに原作者が亡くなった件 2、『シャイニング』『惑星ソラリス』 3、『砂の器』はどうなのか 4、タイトルの「砂の器」とは e-honより 1、ドラマ化をきっかけに原作者が亡くなった件 少し前に、TVドラマ化されたコミックの原作者が亡くなるという件がありましたね。通常メディア化というのは、原作者にも、出版社にと…
アカデミー賞は毎年楽しみですけど、いらん騒動抜きでみたいですね 『内海の輪』(1971)監督:斎藤耕一 初見。松山で呉服屋の女将をやっている岩下志麻。東京で考古学者をやり義父の力で将来も安泰な中尾彬。二人は互いに配偶者がいながらダブル不倫生活を満喫していました。今度岡山で発掘調査があるから出てこないか。あらじゃあ尾道あたりでしっぽりと。二人はウキウキしながらそれぞれの家庭を欺いて密会旅行を楽しみますが、出先で嫉妬深いお手伝いさんに不倫現場を激写されたあたりから関係に暗雲が垂れこめます。楽しいはずの旅行が砂を飲んだみたいな重苦しい雰囲気に変わり、男愛しさのあまり「家庭も将来も捨てて自分と一緒にな…
松本清張の代表的1冊 ミステリー好きなら作品名を知らない人がいないであろう名作です。 松本清張と言えば日本のミステリーの原点的な存在であると、私自身はとらえているのですが、数多くある作品の中でも代表的な1冊だと思います。 いわゆる刑事小説ということになりますが、一人の刑事の執念が事件の真実をとらえるまでの道のりを十分に感じることができます。 一見は男女の心中に見えた事象も、殺人事件として真実をあばく様は圧巻です。 ■あらすじ ■粘り強さからきっかけをつかむ ■2人の刑事の関係 ■松本清張の作品イメージ ■まとめ(感想) 【スポンサーリンク】 (adsbygoogle = window.adsb…
点と線松本清張新潮文庫昭和46年5月25日 発行平成15年5月30日 97刷改版平成20年6月10日 120刷 英語の先生に、「情死心中」って「suicide(自殺)」と違うのか?と聞かれて、なんでそんな言葉?!?!って思ったら、読書好きな彼は、『点と線』を読んでいるのだ、と。ほほぅ。なるほど! 情死心中。。。要するに、不倫の挙句心中をはかった男女だろう、、、って思って、「夫婦ではない男女がいっしょに自殺すること」って説明したのだけれど、、、あとから、あれ?ほんとか?って自分の日本語が怪しくなった。「情死」って、広辞苑をひいたら、相愛の男女がいっしょに自殺すること。とでてきた。ってことは、夫婦…
日本人のルーツを探る航海実験で使われた丸木舟=3万年前の航海徹底再現プロジェクト提供 出雲弁で漫才をする女性コンビ=松江市宍道町東来待で2015年7月5日午後2時16分、藤田愛夏撮影 映画化もされた松本清張の推理小説「砂の器」では方言がトリックに使われた。犯行現場近くのバーで被害者と若い男が東北弁で地名を話すのを聞いたという証言から捜査員が東北に飛ぶ。だが、被害者の出身地は中国地方だった ▲「出雲は越後並びに東北地方と同じようにズーズー弁が使われている」。専門書の記述や東北と出雲地方の一部が同じ色に塗られた「日本方言地図」から捜査員は2人が使ったのは出雲弁と判断する ▲ズーズー弁が古代の音韻で…
「昭和の笑いと令和の笑いは相容れない」 そこから連想し、Yahoo!旧本館記事をいくつか加筆修正して再編集+αによるHatena記事をば
佐藤愛子著「死ぬための生き方」を読んだ。和田誠の装丁が決め手で手にとったこの本には、なかなか聞けない大人の本音が入っていたように思う。 物事に対して自分と世の中のものさしで測り、考えを深めて、切る。この人の切り口は毒が強めで、でもこの毒を待っている人がたくさんいるから、語り続けているのだろう。 わたしたちに決まっているのは、最終的に死ぬことくらいだ。その覚悟をもって、自分ごとで考えて生きること。気が引き締まった。 死ぬための生き方 (集英社文庫) 作者:佐藤 愛子 集英社 Amazon ざっくりと、こんな本 死なないために生きていないか? 言いにくいことを言ってくれる人 何に生きたいか?は死を…
障害者への対応 話し合いで課題克服を(2024年4月23日『北海道新聞』-「社説」) 障害者が日常生活を送るうえで直面する障壁を取り除くため、民間事業者に「合理的配慮」を行うことを義務づける改正障害者差別解消法が4月施行された。 法改正により、これまでの行政機関などから拡大された。企業や法人にとどまらず、個人事業主や非営利団体も対象となる。障害者が参加しやすい共生社会の実現を促す契機としたい。 課題は合理的配慮の内容が一律ではないことだろう。 改正法は障害者から申し出があった場合、実施に伴う負担が過重でない範囲で、必要かつ合理的な配慮を講じることを求めている。 だが、車いすでの飲食店の利用や筆…
先週末、亡父の十三回忌で愛媛の宇和島へ二泊三日の帰省旅行。さいわい大きな余震はなかった。立ち寄らなかったが実家のほうも、弟夫婦によると地震の被害はほとんどなかったそうだ。 意外だったのは、ホテルや街なかで外人をけっこう見かけたこと。ロビーでちょっと立ち話をした外人のひとりはミズーリ州カンザスからきた若い女性で、もうひとりは奥さんが日本人だというオーストラリア人だったが、どちらもお遍路さん姿だった。 ほかにも何人か外人のお遍路さん(日本人はゼロ)が泊まっていたのでフロントで話を聞くと、今年に入って外人客が増えたが、お遍路さんはいつも数えるほど。こんなに多いのはめずらしいという。やっぱり円安のせい…
2024年更新 旧天城トンネル(天城山隧道)の河津側~寒天橋の通行止めは4月19日(金)に解除 旧天城トンネルへ河津川から通行可能 旧天城トンネル(天城山隧道)の河津側~寒天橋の通行止めは4月26日(金)まで延長予定 旧天城トンネルの観光は伊豆市側から可能(河津側トンネル出口でUターンとなります。) 旧天城トンネル(天城山隧道)の河津側~寒天橋が9月1日(金)~令和6年3月31日(日)まで通行止め予定 旧天城トンネルの観光は伊豆市側から可能 天城山隧道(旧天城トンネル)の基本情報 地図 近隣からのアクセスと駐車場 公式情報 11月2日(水)から414号(旧道)は下線全面通行止めは解除されていま…
そもそも岸田首相は、国家運営や政策構想など政治家としての理念など持たず、ひたすら首相になりたいだけだ、と公言して憚らぬ人。安倍元首相の国葬に際しては「国として葬儀を執り行うことで・・・我が国は民主主義を断固として守り抜くことを示し」「安倍元総理が培われた外交的遺産をしっかりと受け継」ぐことを「国葬儀」の意義だと説明しました。 そして国葬についてその是非が世論を沸騰させる渦中、確たる法的根拠や法令がないまま、閣議決定で国葬儀を強行したのです。 この岸田首相の発言を分析すると、以下の二点が国葬の意義だということです。 ・元首相の国葬を執行することは、民主主義を守ること ・元総理の外交的遺産を受け継…
フランス・ボルドーの赤ワイン「ムートン・カデ・レゼルヴ・メドック(MOUTON CADET RESERVE MEDOC)2019」 (写真はこのあと牛のサーロインステーキ) 格付け第一級シャトーが手がけるムートン・カデの上級シリーズ。メドックの魅力を表現した厚みのある果実味と複雑なニュアンスが魅力。 世界で一番愛されるボルドーワイン「ムートン・カデ」の中でも、ワンランク上のレゼルヴ・シリーズ。こちらは銘醸地メドックの厳選されたブドウのみを使用した1本。力強い味わいながらも滑らかなタンニンがあり、お肉料理の旨みを一層引き立てる味わいです、と宣伝文句にあり。 メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンをブレ…
MAPPAがアニメ『ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE』(原案・脚本・キャラクター:久保ミツロウ/原案・監督・構成:山本沙代)の制作中止を発表した。セーラームーンとは直接関係ないけど、セーラームーン大好きなエフゲニア・メドヴェージェワは『ユーリ!!! on ICE』の大ファンで、勝生勇利のコスプレまでしている。 2019年に予定されていたメドヴェージェワ主演のアイスショー『美少女戦士セーラームーン Prism On Ice』が再々延期の末に中止になり、今回『ユーリ!!! on ICE』の劇場版も、当初2019年公開予定だったのが延期、そして今回中止になり、何…
●概要●ミュージシャン等20名●絵本作家2名 ●漫画家110名 ●他漫画家:情報不足・① ・② ・③ ・④ ・⑤ ●ゲームクリエイター14名 ●小説家104名 ・他小説家: ・① ・② ●哲学者1名●ファッションデザイナー2名 ●写真家2名●映画サイト運営者1名 ●概要 現在244名分のリストを掲載。 このコーナーは「映画人のオールタイムベスト(個別)」に掲載した以外の漫画家、アニメーター、ゲーム開発、シンガー、作曲家、小説家、その他クリエイターが影響を受けた・好きな映画のリストをまとめた掲載先のリンク集です。
www.shochiku-tokyu.co.jp松本清張の原作小説を『ゼロの焦点』(1961)、『砂の器』(1974)でも清張作品を手掛けてきた野村芳太郎が監督した作品。 川越で印刷業を営む竹下宗吉が、愛人との3人の隠し子を押し付けられた事から妻・お梅との関係が狂い始める様子が描かれます。 愛人との子を押し付けられた夫婦の苦悩が見どころ。大人の都合で振り回される子供たちに待ち受ける過酷な内容は生々しいものに。 主演は緒形拳。妻役の岩下志麻、愛人役の小川真由美との間に板挟みとなる姿を好演しています。放送情報鬼畜 BS260 BS松竹東急 2024/4/20(土) 21:00-23:11作品概要1…
4月12日金曜日 曇り、雨。玉ねぎブロッコリーツナのクリームパスタ。テレビ千鳥、見る。物干し竿に皮のベルトが干してあるので聞くと、寝っ転がったらしたにうんこがあったの、とS。Sは往来座へ。絵。『POPEYE』東京特集の対談読む。パタゴニアとかプラダのリュックとかフランスのナチュラルワインとかどこが「東京」なのかさっぱりわからない。中年男性の雑誌みたい。夜、M家で母が作ったアスパラの肉巻きをもらい、往来座へ。ru先輩、saさん、miくん。ポテトチップスが4袋空いている。お腹すいちゃったんだもん、とn。お茶割り。ローソン100で買い物。法明寺の桜見て帰る。夕飯は、母にもらったアスパラの肉巻き、ブロ…
2階のベランダから小学生くらいの子供が水鉄砲によって水を通行人にかけた。 「こらぁ〜」 「こらぁ〜」 雨傘とパン屋と八百屋の買い物で手が塞がれた男が叫んだ。黒い帽子を目深に被ったウインドブレーカーを着ている。散歩のついでに買い出しをしていた風だ。黄砂が舞う薄暗い日である。 その家の表札を見るとSATOとある。佐藤なのか佐東なのか左党なのか。どうやら子供のしつけは失格の残念な家庭のようである。 思い出すのが松本清張「天城越え」だ。少年の殺意だ。恋心すら抱いた女が土工とマグワイ失恋した腹いせに殺した。 清張が嫌った三島由紀夫の「午後の曳航」もそうかも知れない。少年の殺意である。元船乗りの男が母を奪…