私にとって、ロッキード事件は記者活動の第二の原点だった。記者としてのスタートは東北・秋田であり、その後仙台を経て社会部に異動した。間もなくこの事件がアメリから波及し、末端のいわゆるサツ回り記者として、かかわることになった。春名幹男著『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』(KADOKAWA )を読み、当時のことが蘇った。あれから、45年の歳月が過ぎ、この事件は「総理大臣の犯罪」として戦後史・昭和史に大きく刻まれた。それにしても、逃した巨悪とは誰だったのか……。 ロッキード事件は、米国ロッキード社の大型旅客機の売り込みに際し、各国要人に多額の賄賂が流れた疑獄事件だ。1976年の米国上院外交委員会…