佐藤守弘「人類のビオトープ——風景とアントロポクラシー」 日本記号学会第42回大会:記号論の行方——モビリティ・人新世・ケア セッション2:人新世の風景 要旨 美術史家E・パノフスキーは、幾何学的遠近法を生みだしたルネサンス期をアントロポクラシー Anthropocracy、すなわち「人間による支配」と呼んだ。人間が自らを取り巻く環境を計測=操作可能なものとして捉えはじめたという点において、それを人新世 Anthropoceneの起点のひとつと考える論者もいる。確かに狭い意味での「風景」——すなわちルネサンス以降のヨーロッパで発展した環境を表象するモード——が、遠近法による主客の分離を前提とし…