著者の母親の生涯を小説仕立てで書く・・作家ってなんと因果な職業でありませう。ドキュメントではなく小説ですよ。ようするにたくさん売るために話を盛ったり、削ったり、誇張したりと加工する必要があります。それなのに事実を歪めることはできない。なんともしんどい仕事ではありませんか。 でも、そんなの余計な心配で林センセは実母、万亀の生涯をスイスイよどみなく描き、時代背景の描写も不自然なところはない。さすがですねえ。 但し、小説とは言え、母以外の実在の親族や故郷の教師などもたくさん登場するのだから批判や好き嫌いをあからさまに書くともめ事が起きかねない。そこんところはかなり気配りを要したと思います。それにして…