アキ・カウリスマキ監督の最新作『枯れ葉』が興収1億円を突破し、日本上映で過去最大のヒット作となったとのニュースと、現在も多くの劇場でロングラン上映が続いている現象を目の当たりにしていると、我が耳を疑ったり、多少の戸惑いを隠しきれなかったりしてしまう(カウリスマキの映画がニュースになったこと自体もなんか変な感じがしたものだ)。個人的、あまりにも個人的なその微妙な感情には、学生時代から蓄積してきたカルトでマイナーな映画への密かな愛と、混迷をきわめ、殺伐とした現代社会の中の微かな希望が入り混じっているような気がする。二十代の時に『マッチ工場の少女』、『真夜中の虹』、『パラダイスの夕暮れ』を初めて観た…