訓読 >>> 2495たらちねの母が養(か)ふ蚕(こ)の繭隠(まよごも)り隠(こも)れる妹(いも)を見むよしもがも 2496肥人(こまひと)の額髪(ぬかがみ)結(ゆ)へる染木綿(しめゆふ)の染(し)みにし心我れ忘れめや [一云 忘らえめやも] 2497隼人(はやひと)の名に負(お)ふ夜声(よごゑ)のいちしろく我が名は告(の)りつ妻と頼ませ 要旨 >>> 〈2495〉母親が飼っている蚕が繭にこもっているように、家にこもって外に出ないあの子に逢う手段はないものか。 〈2496〉肥人(こまひと)が前髪を結んでいる染木綿(しめゆふ)のように、深く染みこんでしまった私の思い、この思いをどうして忘れたりし…