訓読 >>> 朱(あか)らひく膚(はだ)に触れずて寝たれども心を異(け)しく我が念(も)はなくに 要旨 >>> 今夜はお前の美しい肌にも触れずに一人寝したが、それでも決してお前以外の人を思っているわけではないからね。 鑑賞 >>> 「正述心緒(ありのままに思いを述べた歌)」。「朱らひく」は、赤い血潮がたぎる意で、血行がよく健康な肌のこと。「心を異しく」は、心が変わって。 男の歌として解しましたが、どちらの歌かは不明です。男の歌だとすると、同宿したにもかかわらず相手の女の肌に触れなかったことを弁解しており、女の歌だとすると、何らかの事情で男に断って言った形のものです。いずれの場合も理由ははっきり…