明治時代になって西洋文明が日本を革命的に変えていったが、そのかなめになったのが教育だった。国づくりを担う人材養成だ。義務教育が制度化され、学校で教わる歌は、国民に愛唱された。自然を歌う、暮らしを歌う、愛国心を涵養する軍歌も作られ、歌われた。 明治45年、「冬の夜」という歌が、尋常小学校唱歌に指定された。 1 , ともしび近く 衣(きぬ)縫う母は 春の遊びの 楽しさ語る 居並ぶ子どもは 指を折りつつ 日数かぞえて 喜び勇む 囲炉裏火はとろとろ 外は吹雪 2,, 囲炉裏のはたで 縄なう父は 過ぎし戦(いくさ)の 手柄を語る 居並ぶ子どもは 眠さ忘れて 耳を傾け こぶしを握る 囲炉裏火はとろとろ 外…