狭山三姉妹の活躍を描く通俗本格〈探偵姉妹トリオ〉シリーズ第2集。梶の最後の短編集で、初出は全て《小説CLUB》(挿絵は宇野亜喜良)。 巻頭作は、艶美の親友が巻き込まれた不思議な事件に挑む「アダルトな殺人」(88年10月号)。コナン・ドイルとチェスタトンの有名作のトリックが使われていて(ネタばらしをしているのはいただけない)、〝アダルト〟に別の意味を持たせた点は評価できるがイマイチな出来。 監視対象者が目の前で狙撃されて死亡し静江に容疑がかかる「狙撃者はキモノ美人」(89年1月号)は、ある人物に焦点を当てることにより事件の構図を隠すことに成功していて感心。まわりくどい計画なのは否めないが、説得力…