見るめこ そうらぶれぬらめ 年経にし 伊勢をの海人《あま》の名をや沈めん by(藤壺)女院 〜見た目は うらぶれて 古くさく見えましょうが 昔から名高い伊勢物語の名を 落としめることができましょうか 藤壺の女院は、左方の梅壺の女御(前斎宮)側の肩を持つ🪻 次は伊勢《いせ》物語と正三位《しょうさんみ》が合わされた。 この論争も一通りでは済まない。 今度も右は見た目がおもしろくて刺戟的で宮中の模様も描かれてあるし、 現代に縁の多い場所や人が写されてある点でよさそうには見えた。 平典侍が言った。 「伊勢の海の 深き心をたどらずて ふりにし跡と波や消つべき ただの恋愛談を技巧だけで綴《つづ》ってあるよ…