1895-1985。 高等教育を受けず独学で、書誌学、近世日本文学、人物研究等に多大の功績を残す。 現在では岩波文庫及び講談社文芸文庫から以下の作品集を入手することができる。
『書物』(柴田宵曲との共著)(岩波文庫,1997) 『増補 新橋の狸先生』(岩波文庫,1999) 『新編 明治人物夜話』(岩波文庫,2001) 『新編 おらんだ正月』 (岩波文庫,2003) 『新編 物いう小箱』(講談社文芸文庫,2005)
正月に麻布十番に母方の祖父母の墓参りに出かけたついでに南麻布の西福寺を訪ねる。古川橋に近い明治通りに面した浄土真宗の寺である。 ここに『江戸近郊道しるべ』を書いた江戸の侍・村尾嘉陵(1760-1841)の墓があるらしい。 本堂に向かって左手に墓が並んでいて、そこから見ていく。浄土真宗なので、正面に南無阿弥陀仏と刻まれた墓が多く、しかも比較的新しいものが目立つ。家名は台石に彫られているので、それぞれがどこの家の墓なのか分かりにくいが、新しい墓は探索の対象から外してよさそうだ。 嘉陵の墓については在野の歴史学者・書誌学者である森銑三(1895-1985)の「嘉陵紀行の著者村尾正靖の墓」(『森銑三著…
本の買取強化中です。JR小倉駅北口「小倉の古本屋」古書城田(旧ブログです) JR小倉駅北口(新幹線口)の古本屋、古書城田です。北九州市内をはじめ福岡県内&近県、本の出張買取、本の遺品整理を行なっています。大量歓迎です。査定無料、出張費無料です。どうぞご相談くださいませ。 當世鹿もどき (当世鹿もどき) (昭和36年) 谷崎潤一郎:著 武者小路実篤:題字 横山泰三:装釘挿画 中央公論社 新版 小熊秀雄全集 第2巻 月報付 (小熊秀雄詩集 風物詩篇 童話 評論・エッセイ篇<1924年-1930年> 解題 解説) (1990年 新版) 小熊秀雄:著 佐藤喜一:解説 創樹社 森銑三著作集(森せん三著作…
king-biscuit.hatenablog.com 一連のエントリー、上記であらかじめ経緯来歴について説明した通り、2005年から6年にかけての頃、呉智英夫子との対談本というか、インタヴュー本的な企画がお流れになった、その概ね9割方かたちになっていた作業中の草稿データを発掘してきたものをアップしたのだが、その後また例によって、作業途中での素材がいくつか出てきたので、補遺としてあげておく。テープを起こしたものから、モティーフやお題に従っていくつかの塊にいったんバラバラにしてゆき、それらの素材をもう一度、ある流れに沿って配列しなおし、全体を整えてゆくという作業の工程の中で、うまく本体に織り込め…
2022年11月は16冊。 本棚登録は51冊。購入は10冊/¥8374。 あてのない絵はがき (小学館ライブラリー―アウトドアエディション) 著者 : 辻まこと 小学館 発売日 : ブクログでレビューを見る» 辻まことの画文集。当時入手できなかった本。山の声がよい。月に向かって吠えた女の子の話。(仏像・狼信仰・大菩薩…)そういう感応もあるのだろうな、と。 登山系の随筆なら、自分は辻まことのそれが一番気分に合う。月に向かって吠えた女の子の話がよい。子供時代の感応の話。それにしても辻まことは大森に住んでいたのだなと。文中にでてくる娘、その母親が武林無想庵の娘(イヴォンヌ)と知る→山本夏彦の無想庵の…
牟田都子『文にあたる』から少しはみ出して、今日は森銑三と寺田寅彦。 森銑三(1895~1985)は独学在野の歴史学者・書誌学者だ。 『書物』【1944 岩波文庫 柴田宵曲との共著】では 「書物には誤植がある上に、原稿の誤書があり、文字の誤用がある。その上に内容の誤謬まで数えたら、大抵の書物は誤に充ち満ちていることになる」 と書き、 しかし「寺田寅彦博士もいわれたように、『間違いだらけで恐ろしく有益な本』もないではない」と付け加える。 元になった寺田博士の一文はコレ。 「間違いだらけで恐ろしく有益な本もあれば、どこも間違いがなくてそうしてただ間違っていないというだけの事以外に何の取柄もないと思わ…
名称:七月大歌舞伎『風の谷のナウシカ』「上の巻 ―白き魔女の戦記―」(特別映像つき ライブ+見逃し)場所:Hulu入場料:¥5200期間:リンク切れで不明見学日:2022/08/07図録:-- コロナ騒動でいろいろ変更があった七月大歌舞伎の配信(本来は千穐楽を生放送だった)をようやく視聴。現場で見たナウシカ歌舞伎を(編集版とはいえ)再度見るという。とはいえ、どんな形であっても見られることができてよかったな。 丑之助君の舞を生で見たかったなぁ…。ちょうど休演になった日だったものね…。メイキングも良かったな。新作が古典になるという思いでつくっているのだな、と。 舞台自体は網羅的で冗長な部分もあるよ…
三鬼清一郎著『大御所徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか』(中公新書、2019年)、読了。江戸幕府を開き、大坂の陣で豊臣氏を滅亡に追い込むまでの、家康の大御所政治とその功績を叙述する1冊。 三鬼清一郎著『大御所徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか』(中公新書、2019年) 概要と感想 本書は題名のとおり、徳川家康が大御所と呼ばれた時代に約260年続いた幕藩体制の基礎をどのように作り上げたかを描く。そのため、本書は編年で家康の事績を追うのではなく、天下普請や御三家の成立、外交政策、大坂の陣などの幕藩体制を確立するトピックを取り上げている。そのため家康の功績のみならず、初期江戸幕府の状況・動向につ…
かつてわたしは、植村達男『本のある風景』(勁草出版サービスセンター1978)を2冊持っていた。その後――といってももう十五年ほど前の話になるが――、初刷の方は知人に差し上げた。いま手許にあるのは1982年刊の第2刷で、ビニールカバーの下に抹茶色の帯が巻かれている。たしか天神橋筋の天牛書店で購った。初刷はどこかの古書市で入手したもので、そちらは帯が橙色だったと記憶する。 110ページ強のごく薄い本ではあるが、この「本の本」は、まさに滋味掬すべき随筆集だ。一篇一篇がほどよい短さなのもよい。巻頭には栗栖継「エスペラントの仲間のために」、野呂邦暢「『本のある風景』に寄せて」という二つの序文が収められ、…
『文學界』八月号に、角地幸男がドナルド・キーンについて書いている中に、森銑三の西鶴についての仮説に触れたところがあった。しかしこれは直接キーンとは関係せず、キーンと対談した石川淳が訊いたことなのでやや分かりにくい。 森は図書館勤めの「在野」とされる近世書誌学者で、谷沢永一、芳賀徹、小堀桂一郎といった反東大国文を標榜する右翼系学者に崇拝されていた。別に森に右翼思想はないので、たまたまではなかろうか。芳賀は平賀源内について調べた人として崇敬していた。 森の西鶴仮説は、「西鶴と西鶴本」(1955)「西鶴本叢考」(1971)などで展開されており、「好色一代男」は西鶴の作だが、それ以外の西鶴作とされるも…
祇園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり。 娑羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらわす。 おごれる人も久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。 たけき者も遂にはほろびぬ、 偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ… 「大原御幸」出立の朝 ー 写真左端が大原別所あたりか 近年、自分の関心として『平家物語』がある。以前読んだその物語の最後の方に「大原御幸」という章があり、それは「灌頂巻」のなかに入っているのだけど、後白河法皇が洛北市原ー静原ー大原寂光院まで お輿に乗って行ったようなのだ。いったいその道はどこなのだろう、と言う単なる興味本位で調査(推測!)してみたので、それをこれから何回かにわけて紹介してみようかな…
6月の読書メーター読んだ本の数:19読んだページ数:4814椿宿の辺りにの感想痛みの由来を探す、と簡単にいうけれど、それは大きな、自然の不思議にいたる道であるかもしれない。または、一つの警鐘であるかもしれない。山彦の問いかけが心に残る。「だが、潜んでいるものを暴き出して退治する――それで果たして問題は解決するのだろうか」読了日:06月29日 著者:梨木 香歩ゴハおじさんのゆかいなおはなし エジプトの民話の感想それこそ、彦一とんち話のような日本の民話を思い出す。ナンセンスでユーモアたっぷりのお話が、十五も並んでいる。どれも、ほのぼのと笑えるたのしいお話ばかり。ハグ・ハムディさんとハニーさんによる…
新編 物いう小箱 (講談社文芸文庫) 作者:森 銑三 講談社 Amazon 今だったら今だったらショートショートと呼べるかもしれない44篇だけれど、そういう呼び方は相応しくない気がする。「嵩山の裡に、蔦かずらの這い纏うた、ささやかな庵を結んで、一人の老僧が行いすましていた」というような文章でつづられた物語には。深い森の匂いがしてくるような、水の流れる音が聞こえてくるような。涼やかな湿めりけを感じながら読む、一篇一篇が、上質の小品だと思う。二部構成で、「一」は日本が舞台。おもに旗本や侍がいたころのもの。「二」は中国が舞台。多分民話や説話などから題材をとったもの。 ふいに猫が言葉をしゃべる。跳ねる…
知人宅の隣家の飼猫が、前から我が家の猫に似ているのが気になって居た。似ていることを話すと、わざわざ、抱いて連れて来てくれた。体は大きいし、年齢は大分上ではあるが、やはり目つき、表情がそっくり。なんだか、わが家の猫に睨みつけられているような気持ちになった。 家に戻って、写真を比べると、似ていないわけではないが、そっくりというほどでもない。 二葉亭四迷の猫については、その後何もわからない。犬に関しては、その後、犬をめぐる騒ぎに捲き込まれて、ロシア警察に拘留されたことが分かった。 明治35年(1902)の7月2日付で、四迷は坪内逍遥(雄蔵)あての手紙に、詳細を記していた。 小説家をやめ、官吏も、ロシ…
今日30日ってマジ?ずっと29日だと思って生活してた 本物の29日はどっかに落っことしてきたみたいですね 【2022年4月編】が無かったのは決してひと月坊主になっていたわけではなく5/2~5/5に開催されていたアプリ会員限定GWセールに備えていたからなんですね shirokuro-044.hatenablog.jp 初日と最終日に行ったかな 楽しかったです 行きつけのブックオフは岩波文庫が充実しててとてもよい セール初日に同レーベルの本をまとめ買いすると棚がポッカリ空くでしょ。すると店員さんが空いたところに同レーベルの商品を補充してくれるでしょ。そこを狙って行く。あちこちの棚からチマチマ漁るよ…
昨年英語の辞書を紙から電子に変えたところ、なかに語学学習用のテキストとして「OXFORD BOOKWORMS」という読物群が収められていた。難易度で六段階に分けられており、いまようやくレベル3まで来た。 内容はアンネ・フランク、ガンジー、ジョン・F・ケネディ、ネルソン・マンデラ、スティーブン・ホーキングといった人たちの伝記、ヘンリー八世とその妻たち、四十七士などの歴史読物、もちろん有名な文学作品もリライトして収録されている。これまで読んだ文学作品は「オペラ座の怪人」「オズの魔法使い」「ドラキュラ」「ロビンソン・クルーソー」「オー・ヘンリー短篇集」「野性の呼び声」「クリスマス キャロル」、このあ…