(約2000文字・購読時間3分) 2026年4月、フランス国民議会は、植民地時代に取得された文化財の返還手続きを簡素化する法案を可決した。2017年にエマニュエル・マクロンが掲げた「アフリカ文化遺産の返還」公約を制度面で前進させる動きである。ただし、この法案は現時点で最終成立には至っておらず、上下両院の調整段階にある。それでも、この法案が示しているのは明確だ。返還を個別の政治判断から、制度的なプロセスへ移行させようとしている点である。 これまでフランスで返還が進まなかった理由は、単純に意思の欠如ではない。国立コレクションには「不可譲渡原則(inaliénabilité)」が適用されており、一度…