シリーズの最後を飾るのは、みんな大好き織田信長である。彼の革新性については古くから定評があるのだが、最近ではそれを否定する方向で研究が進んでいるようだ。確かにこれまでの信長像は、「中世の破壊者」だとか「革命的な天才児」だとか、些か持ち上げすぎであった感は否めない。 最近の研究ではっきりと否定されているのは、まずは「楽市楽座の発明」。信長もやったのは間違いないが、既にその18年前の1549年に六角氏が「石寺新市」に対して楽市楽座令を出している。同じ文脈で語られるのが「座の否定」。これもかつて有名であったが、そこまで座を否定していなかったことも明らかになっている。実際、日本一の商業都市であった京で…