柳咲いて大河目覚めの狂詩曲 安倍川の中流を歩くと河原のヤナギが満開だった。眩しいほどのディープ・イエローに咲き誇っている。 まだ風は冷たく傾き始めた午後の光の中で、おびただしい数のヤナギの樹々が燃えるように浮かび上がる。石ころの両岸に沿って、景色に不似合いなほど激しい黄色である。背景の山は陰り始めて青みがかったグレーがまし、ヤナギとのコントラストがいい。しばらく見とれてしまう。 ヤナギは種類が多いので同定が難しい。柳と書くのはシダレヤナギ、楊と書くのは枝垂れないタチヤナギなどを指すということだ。私の見ている写真のヤナギは、枝垂れではないので、楊の一種に当たるのだと思われる。ここでは一応「タチヤ…