一期一会の詩文集 『飛行機雲』 灯篭流し 親戚の新盆で寺に行った 夜中の寺は足下がおぼつかない 本堂の高い梁(はり)から下がった黄金色(おうごんしょく)の灯りの下で 大勢の檀家や親戚が集まり 僧侶の経を聴く 大きな鈴(りん)をけたたましく打ち鳴らし 僧侶の読経の声は延々と続く 名前を呼ばれたら 喪主が順次に焼香をする 喪主が終わると 次は親族だ 夏の堂内は 扇風機を回しても汗が滲み出る 新盆の法会は半時たらずで終わった そのあとは 境内に出て 小さな灯篭を池に浮かべ みんなで掌を合わせて 灯篭流しのならいごとをする 暗い水面に 蛍火のようなろうそくの灯りが ちらちらと揺らめいて流れていく 御霊…