この記事では極零相殺(きょくれいそうさい, pole-zero cancellation)についてまとめます。極零相殺とは、伝達関数の極と零点が同じ位置に現れて互いに打ち消し合う現象です。伝達関数の見かけは簡単になりますが、消えたモードがシステムから消滅したわけではありません。相殺されたモードが不安定である場合、あるいは制御器によって意図的に相殺を行った場合には、入出力の応答が安定に見えていても内部状態が発散するという深刻な問題が生じます。 本記事では、伝達関数と極・零点の基礎を整理したうえで、状態空間表現を用いた具体的な数値例により、(1) 安定な極零相殺と不可観測モード、(2) 不安定な極…