●万葉集巻十六の巻頭に「有由縁幷雑歌」とある。物語的な内容を踏まえた歌、まさに「有由縁」歌ならびに、他の巻とは異なる視点からの「雑歌」を集めた形をとっている。今日紹介する万葉歌碑の歌は、「縵児」伝説に関わる歌である。 ●万葉歌碑を訪ねて―その116― 歌は、「耳成の池し恨めし我妹子が来つつ潜かば水は涸れなむ」である。 奈良県橿原市木原町古池万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県橿原市木原町 木原古池にある。 歌をみていこう。 ◆無耳之 池羊蹄恨之 吾妹兒之 来乍潜者 水波将涸 一 (作者未詳 巻十六 三七八八) ≪書き下し≫耳成(みみなし)の池し恨めし我妹子(わぎもこ)が来つつ潜(かづ)かば水…