福井雄一郎 【要旨】 本研究は、大庄屋堀家と龍野の醤油業の関わりについて、たつの市をフィールドに実地調査を行う事で、両者の関係を明らかにしたものである。 1.江戸時代の堀家 堀家とは、現たつの市龍野町日飼にある、江戸時代にこの地域の大庄屋を務めた一族の事である。 堀家が庄屋を務めていた日飼村は、揖保川の東岸に位置しており、龍野城下町とは反対の方向に位置していた。延享4年(1747)以降は龍野藩領から一橋徳川家の直轄領となって、明治時代に入るまで支配を受けた 江戸時代、堀家は日飼村の庄屋、菜種の売買、鯨油商売、高瀬舟を利用した運輸業、金融業、御用金の上納、木綿専売仕法など、多くの事業に着手してい…