本名川口鐵二。1912年、大阪に生まれる。
京大経済学部卒業後、本格的な評論活動を開始。1939年に雑誌「劇評」を創刊。1944年には、すぐれた古典芸術の観照を目的とする「断絃会」を組織し、一流の古典芸術家を後援した。戦後、1949年からは歌舞伎の再検討を目指した、いわゆる「武智歌舞伎」の公演活動によって、当時の関西歌舞伎の若手俳優の育成につとめた。以後も歌舞伎をはじめ能、狂言、文楽、舞踊、オペラ等様々な分野の演出活動にあたる。1960年代になってからは映画界にも進出。谷崎潤一郎原作の『白日夢』をはじめ、わいせつ論議で裁判沙汰にもなった『黒い雪』等、次々と問題作を発表し、話題を呼んだ。1988年7月26日、膵臓ガンのため死去。
主著に『かりの翅』、『伝統と断絶』、『定本武智歌舞伎全6巻』などがある。