半世紀前の録音なのに、再生した瞬間に最後までこの歴史的録音を聞きたい空気へと変わるのです。 オーケストラの呼吸、豪華な歌手陣の“意気込み”が、まるで今ここで起きている出来事のように立ち上がってくるのです。 1974年3月16日──クーベリックが刻んだ“生の温度” 1974年3月16日(土曜日マチネ)、ラファエル・クーベリックが振ったベルリオーズ《トロイ人》。この夜の記録には、単なる名演という言葉では収まらない“生の温度”が伝わってきます。 都市が崩れる音、声が沈む気配、ひとつの高音が運命を変える瞬間──この録音の向こう側で確かに起きていたものを、今日は静かに辿ってみたいです。 クーベリックの透…