ロッキード事件は、戦後のさまざまな政治的事件の中でも、とりわけ戦後日本の政治構造をむきだしにしてみせた出来事だった。1976年2月、アメリカ上院外交委員会の多国籍企業小委員会は、ロッキード社が日本に対する旅客機と対潜哨戒機の売り込み工作にあたって、日本の政治家らに多額の賄賂を贈ったという事実を公表した。 その後の日米双方の調査は、戦後民主主義が定着し、消費社会とビジネス・カルチャーがにぎやかに、また健全に根付いているようにみえた日本社会が、じつはその背後のダーティーな骨格によって支えられていることを明らかにしたのだった。(猪瀬直樹 著『死者たちのロッキード事件』文春文庫、1987) こんばんは…