2023年4月刊行の本書は、現時点での國分功一郎の最新刊。 主著『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社 2011, 新潮文庫 2021)の思考を継承進化させた現在を、講義・講和のかたちで現代をともに生きる人たちに対して問い直すようにして語られた問題提起の著作。 目的に拘束された行動よりも、それ自体に喜びを感じることのある行動の自由。資本主義下の生産と消費のサイクルに取り込まれ際限のない欲望を掻き立てられつづけるよりも、身体的限界をみて一定の満足に充足する贅沢。時代的地域的な一定の単位として支配され統治される人々の生活に、選択し活動する個人の自由を開拓し守ろうとしている現代日本を代表する哲学者の言葉。…